PathPortどこでも病理ラボの歩み
1. PathPortの歩み

2026年5月12日(一般社団法人PathPortどこでも病理ラボの設立日)にPathPortどこでも病理ラボは5周年を迎えます。以下,簡単に5年間を振り返ってみました。

1-1. 病理診断に関する企画
   症例相談室
   症例相談室レビュー
   定例セミナー
   サマーインテンシブセミナー

2021年6月から会員登録の受付を開始し,すぐに本ラボの主事業である「症例供覧室」および「症例供覧室レビュー」をスタートさせました。2024年4月には,症例の集積とコメントの充実のため,「症例相談室レビュー」を毎週開催から月2回とする一方,それぞれの分野の専門家からなるPathPort Expert Commentators (PECs)チーム(https://pathport.or.jp/pecs )を結成しコメントや討論の充実を図りました。
(今年5月8日の会が第***回)

2021年6月,病理診断に関するマンスリー定例セミナーも同時に開始しました(https://pathport.or.jp/seminar)。第1回(腎腫瘍),第2回(子宮),第3回(膵),第4回(胃),第5回(心血管)。。。と続き,今年5月のセミナーで第33回となります。

2021年8月には,「病理診断サマーインテンシブセミナー:非腫瘍性病変の病理診断」を開催し,その後,夏の特別企画として2022年「臨床対応の分岐点を知る:各臓器の重要病変と診断報告(含 術中迅速)のポイント」,2023年「生検・細胞診で押さえておきたい類似病変の鑑別とピットフォール」と開催し,今年2024年は「病理解剖の考察にも役立つ!病理組織像から全身性病態を読み解く」というテーマで開催予定です。
1-2 病理Daily Practice(若手病理医主導の会)

2021年7月には,「病理Daily Practice」(若手主導の会)というマンスリーの会をスタートしました(https://pathport.or.jp/young)。30歳代のプロジェクトメンバーたちによる企画・運営で,施設間のお作法の違いや病理専門医対策の企画など,若手ならではそして若手の本音が滲み出るこの企画は,学会や研究会でも聞けない貴重な内容が多く好評でありPathPortに所属する全会員に開放しています(視聴しているシニアも少なくありません)。
1-3 病理医キャリア関連企画

病理医のための病理診断の標準化を目的として立ち上がったPathPortですが,病理医のキャリアにフォーカスした企画を「キャリア塾」として開催して来ました(https://pathport.or.jp/career)。

2022年5月に「病理学と病理医のリアルがわかる初夏のオンラインセミナー」,2022年8月には「病理は世界だ!」,2023年7月「いまどきの病理医のリアル;病理医キャリアがまるっとわかる夏のオンライントーク」,2024年1月には定例セミナーとの共同企画として「診断・治療とリンクする病理学研究:がん免疫のイロハ」などを開催しました。

また,これらの企画の前(PathPortの最初の企画として2021年5月15日)に「明日の病理・病理診断を考えるシンポジウム」を,2021年10月には「Dr. Rudolf Virchow生誕200年記念 特別企画」などを行なったことが,このキャリア塾につながって来たといえます。
1-4 PathPort 分科会

以上のような病理診断関連,病理医キャリア関連企画を行なって来ましたが,この間,会員による分科会の立ち上げ・運営もPathPortの充実・発展に大きく貢献したと考えています(https://pathport.or.jp/subspe)。

腎病理の会」,「GI Practice」,「みんなで皮膚病理」,「Pathology Quest~病理研究ギルドへようこそ~」「Cytology Hub」など,通常の企画では扱えないような専門性の高い"マニア"な企画や内容はすばらしく,それらを一般の病理医にもわかりやすく伝えようとした工夫がなされているのも人気の理由だと思われます。
1-5 病理学会コンパニオンミーティング

2022年から春の日本病理学会総会の際に枠を作っていただけるコンパニオン・ミーティングに「PathPortどこでも病理ラボの集い」として毎回応募して採択していただいて来ました。

1-6 病理関連の広報活動

病理医のための病理診断に関する企画やキャリア塾などがある程度安定してきたところで,次は,このような病理医・病理診断・病理学についての対外的広報活動の拠点として「PathPortコミュニケーション・デザイン室」を結成し,2023年1月に大手TV局の新聞社の方にも来ていただき「病理医x メディア⼈ 明⽇の医療を考えるシンポジウムー2035 年,どうなる⽇本のがん医療︕-病理医がいま社会に伝えるべきこと」を開催しました。
2.PathPort-J(医学生・研修医を対象とした活動)

病理学会のシンポジウムのパネルディスカッションでの医学生の発言「病理に興味があると病理学の先生にいうとすぐにリクルートの話になってしまい、純粋に病理に興味のある学生が学べる場がない。」をきっかけに、2024年に開始したのが「PathPort-J」プロジェクトです。「J」に「Junior」「Joy」「Jump」などの意味を込め,"病理"を軸にした医学生・研修医向けオンライン・コミュニティを創設しました。
臨床でも役立つ;病理学は一生モノの宝の山!」をキャッチフレーズとして,医学生たちにとって一味異なる病理学学習の場を提供しようと、「ほぼ週間病理Quiz」「病理の先生,これ教えて下さい!」、「病理深掘り隊」の3つの企画でスタートし、2025年2月から「PathPort-J病理学オンラインライブセミナー」、同年4月には「病理学特講チャレンジ」をスタートしました。
3.今後の展望

以上のように病理医・病理業界を盛り上げる取り組みを常に模索し実施してきたPathPortですが,6年目以降も上記の企画をさらに充実させ,一層 楽しみながらも学びもあるものに発展させていきたいと考えています。

そして,さらに,これからも新たなチャレンジも行なっていきます。
4.さいごに

2026年1月1日現在,PathPortどこでも病理ラボの総会員数 ,サポート会員 ,分科会会員 となりました。

5周年記念の PathPort、そしてこれからもどうぞご支援のほど宜しくお願い致します。

一般社団法人PathPortどこでも病理ラボ
代表 福 嶋 敬 宜
(自治医科大学医学部病理学講座 主任教授)
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